面白業種 その5
もし店の商品を買いたいのであれば、行列をして待たされるよりも(しかもこの行列は行列屋による全く不必要な行列なのだ)直ちに買えた方がよっぽど「楽しい」に違いないからです。
しかしもちろん、その業者は誤解をしています。
客である彼女たちは、その店の商品を「買いたい」のですが、「欲しい」のではないのです。
もし彼女たちがそれらを「欲しい」のであれば、行列屋なんかに邪魔されたぐないに違いないが、実は彼女たちは、ことさらに「欲しい」とは思わないままに「買いたい」のであり、「買う」という行為自体を、具体的に、より濃密に確かめたいと考えているのです。
だからこそ、商品への距離が行列屋によって隔てられ(それを手に入れるまでの過程が、遅々としてはかどらないことが重要となってきます。